近視の定義
近視とは遠くのものがボヤけて見えないことを指します。
医学的な定義として「眼球に入った光が網膜の手前で焦点を合わせる状態」を指します。
近視の種類
近視には病的近視と、それ以外の単純近視があります。
単純近視はメガネやコンタクトレンスで矯正が可能です。
病的近視は眼鏡をかけても視力が矯正されません。
眼球後部の変形が激特徴で、視神経や網膜が機械的に障害され、失明を起こすリスクがあります。
病的近視での失明は、失明原因の4番目に多い疾患です。全体の6.5%が病的近視です。
平成17年度厚労省網膜脈絡視神経萎縮症調査研究班報告書 https://www.myopiasociety.jp/general/about/pathological.html
近視の原因
単純近視の原因として
- 眼軸長の増大
- 角膜の変形
- 水晶体の柔軟性低下
- 毛様体筋の緊張
- 眼球を動かす筋肉(外眼筋)の緊張
などによる焦点の調節がうまくいかないことが原因です。
遺伝か?環境か?
近視の発症には遺伝的要因と環境要因の両方が関与すると考えられています。
環境因子としては、近業や屋外活動の関与が報告されています。近視のうち、特に病的近視では遺伝的要因の強いと考えられることが
日本近視学会 https://www.myopiasociety.jp/general/about/
多数の強度近視患者の臨床遺伝学的研究から示唆されています。
遺伝子解析の結果から、主に病的近視に関与する遺伝子変異が報告されていますが、
今なお、決定的な遺伝子は明らかにはなっていません。
さらに、単純近視と病的近視とが同じ要因により起こるのか、両者は同一線上にある疾患なのか、
についても明らかではありません。今後の研究の進歩が望まれます。
眼軸長の増大
眼軸長の増大は、子供の頃に眼球の大きさが成長するときにおこる可能性があります。
角膜の変形
角膜の変形の原因は医学的には不明とされています。
円錐角膜(えんすいかくまく)という、角膜が変形して、前方へ円錐状に突き出てくる病気が代表的です。
アトピー性皮膚炎などと合併していることが多くあります。
なんらかの炎症性の疾患であるという説や、目をこするなどの外圧が影響しているとする説などがあります。
西早稲田眼科 寺井和都 先生 https://fdoc.jp/byouki-scope/disease/keratoconus/
水晶体の柔軟性低下
水晶体はレンズの役割をします。
近くを見るときは厚くなり、遠くを見るときは薄くなります。
その調節をするのが毛様体筋です。
遠近のピントを合わせることが少なくなると
水晶体の厚みが変わらなくなるため柔軟性が低下していきます。
毛様体筋の機能不全
近くばかりを見つづけていると
水晶体を厚くするために毛様体筋が緊張し続けます。
そうすると毛様体筋が緩みにくくなり
とおくに焦点をあわせることが難しくなっていきます。
外眼筋の緊張
眼球を動かす筋肉を「外眼筋」といいます。
実は、目のピントをあわせるのは水晶体だけでなく
外眼筋の緊張により、眼球自体を変形させることでも起こります。
近視になり、焦点が網膜の手前に来てしまう状態は
焦点より眼軸長が長い状態とも言えます。
そうすると、焦点をあわせるために外眼筋を緊張させて
眼球を潰し眼軸長を短くしようとします。
このような作業を多く続けていると
外眼筋が緩みにくくなり
遠くを見ることが難しくなっていきます。
逆に近くにピントをあわせることが少なかったり
眼球をあまり動かさない環境で育った子供は
外眼筋(や毛様体筋)があまり発達せず
眼軸長の増大が起こったり
弱視と呼ばれる「近くも遠くも見えない」ことになってしまいます。