神経可塑性

シェルハブメソッド国際公認指導者

2024/5/15 シェルハブメソッド国際公認指導者になりました。生まれてから歩き始めまでの赤ちゃんの運動発達を見守り促す手法です。イスラエル生まれ世界28ヵ国で実践されています。赤ちゃんの学び方を学ぶというコンセプトのフェルデンクライスメソッドから、世界に13人しかいない創始者フェルデンクライス博士の愛弟子ハバ・シェルハブ博士が開発。動きの問題の奥には幼少期の運動発達プロセスを飛ばしていることからきていると感じたハバ・シェルハブ博士。悪いところを変えるのではなく、できているところを大事にして新しい選択肢に気づけるような提案をしていきます。

神経可塑性
神経の接続は何をして何を感じてどう解釈するかで変わっていきます。

神経可塑性

脳内では、数千億個にも及ぶ神経細胞が複雑につながって、巨大な神経ネットワークを形成しています。神経細胞同士がつながっている部分は「シナプス」と呼ばれ、このシナプスを介して一つの神経細胞から次の神経細胞へと情報が伝わります。脳内の興奮性シナプスでは、主にグルタミン酸が神経伝達物質として使われており、そのグルタミン酸を受け取るシナプス後部は「スパイン」と呼ばれ、樹状突起から突出した小さな部位に形成されています。一つの神経細胞の樹状突起上には数千~数万個のスパインが存在し、スパインの数とほぼ同じ数の神経細胞から入力を受けています。

シナプスは使われる頻度によって、情報の伝わりやすさ(シナプス強度)が変化する性質があります。一般にシナプス強度は、神経活動によるシナプスへの情報の入力の頻度とタイミングによって増強されたり、抑圧されたりすることが知られています。
理化研究所より

新しい配線ができるには28日かかる

動いて心拍数があがると神経成長因子が分泌され新しい神経細胞(海馬)が生まれるとされています。そして新しい神経細胞が既存のネットワークに繋がるには平均28日かかるそうです。しかし新しいことをしないと生まれた神経細胞は繋がることなく死んでしまうそうです。書籍『脳を鍛えるには運動しかない』ジョン J.レイティ (著), エリック ヘイガーマン (著)NHK出版2009年 p62より

シナプスの刈り込み 長期抑制

画像はシナプス刈り込みの様子を表しています。新生児、乳児期には神経細胞とシナプスが爆発的に増えますが刈り込み期といってシナプスの数が減る時期があります。使える回路を残して使えないパターンを削除しています。

大人になってからでもそれと似たようなことが起こります。長期抑制と言います。新しいことを手探りで覚える時は試行錯誤が起こります。自転車の乗り方を覚える時をイメージしてみてください。最初はぎこちなくバランスを取ろうと力みすぎてしまうのではないでしょうか?ですがある時突然転ばずに走れるようになります。あれは正しい乗り方を覚えたというよりは、間違ったバランスの保ち方を辞めるようになったというのが正確です。図で言うと色々なパターンを試してみて、失敗しやすいやり方を除外する、そんなイメージです。

この長期抑制が起こるには、成功と失敗が自覚できることが必要です。自転車なら転ぶという分かりやすい失敗なので心配ありません。さらに痛みや恐怖という感情によって学習は促進されます。

ですが、視力回復のレッスンでは失敗に対して恐怖や痛みを利用することはありません。赤ちゃんが新しい動きを獲得し洗練させていくプロセスでは安全・安心な失敗の許される環境が大事です。安心していろいろ試せることで、より効率的な動きを自ら探求できる。そして様々なバリエーションからどちらがよりベターかという細かな違いが感じられるほど、動きは洗練されていきます。その場にあった選択肢が自然にでてくるようになっていきます。

新しい習慣を手に入れるには66日かかる

Phillippa Lally博士らの2006年の論文によると、一つの習慣が身につく期間の平均は66日間(18~264日)だということがわかりました。European Journal of Social Psychology Phillippa Lally How are habits formed : Modelling habit formation in the real world 16 July 2006

例えば朝起きたら1杯の水を飲むという習慣なら平均18日。毎日30回腹筋運動をするというものは平均264日かかったそうです。

視力を向上させる、左右の目の使い方を変えるというのはそんなに簡単お手軽なものではありません。新しい習慣を手に入れるよりも、古い習慣から別のものに塗り替えるにはもっとかかります。自分自身、半年間1日1~2時間スキマ時間を使っていろいろと試行錯誤を重ねて、結果として視力が回復していました。左右差が少しでも変わったらいいなあと言うぐらいの感覚で遊び心を持って取り組んでいました。

生き物というのは基本的に変化を嫌います。とりえあず今までのやり方で死なずに生き延びてきたからです。ですので変化を恐れる感情、面倒臭いことをやりたくない(省エネの本能)感情が、いろいろな言い訳を探します。赤ちゃんのように全てが新鮮な体験として楽しめるような、そんなレッスンを目指しています。しかし、そもそもコスパ・タイパ重視、ノウハウを盗んで隙あらばフェードアウトしようで最初から来られる方には向きません。真摯に自分や相手と向き合える方をお待ちしています。